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ガラッと音を立てて閉じたドアを暫く見つめていた。頭がぼーっとする感覚、胸は締めつけられているはずなのにどこか心地良い。吸い込まれるような瞳はあの時間オレだけを見ていた。小さく潤った唇はオレだけに語りかけていた。か細い華奢な体はオレだけに向けられていた。
「コンナトコロニ覗ケソウナ穴ガアルオwwww」
それだけでオレは特別な存在になれた気がした。なんでもないオレという存在を黒野さんは受け入れてくれるだろうか、このちっぽけなオレを。
「チョww世界マル見エwwオッキスルwwww」
だから黒野さん…
もうゴール(こいつ殺)してもいいよね。
「これは…」
「ナッ…!!」
「だいちゃんがオレの買ったばかりの消しゴムにシャーペンの芯を刺してくる分っ!」
――ゴンッ!
「モベァ!」
「これはだいちゃんに3日前オレの筆箱にザリガニを入れられた分っ!」
――ベシャ!
「ウボァ…!」
「そしてこれは…!
筆箱の中の消しゴムに芯を刺すのを止めたかと思えばゆで卵の殻を刺していただいちゃんに対するオレの怒りだぁ!」
――ゴシャアン!
「ヌワーーーーッ!!」
「ポマード、貴様に伝承者(ストーカー及び覗き魔)の資格はない」
「パパスッ!」
――ドサッ
そう…オレの筆箱はライフ並みの壮絶なイジメを受けている。
やっと廊下の床と一つになれたポマードを見据えた後、オレはあの扉を見つめる。あの扉の先にはきっと真理があるんだろう。今のオレにあの先を行く術はない。
だからこうして、
――スゥッ
耳を澄ませるのさ。
フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ^ ^すまん、笑いすぎた。
冷たくなった扉に頬をすりつけるように耳を立てる。それは全身の毛穴の開くような刺激、しかしその先で聞こえてくる黄色い声。黄色いのはカレーだけで十分、そんな風に思っていた時期がオレにもありました…。何をしているか聞かれたら堂々と胸を張って言おう、この先にカレーを超えたモノがあると。
そして今、全ての神経を耳に。
『~~って事で話の本題に入っちゃおうかなぁ~』
『はい、そうですね』
恋の相談ですね、わかります。
『み…みんなには秘密にして下さいね///』
秘密の授業始マタ\(^o^)/
『それにしても寂しくなるわね~まさか黒野さんが~
転校しちゃうなんて~』
( ∵)|壁
( ∵ )|壁
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