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色っぽく湿った空気が漂う室内…
先程までの激しい行為のあとの気怠い時間…
ヨウヘイは顔をしかめながらタバコに火をつけ、煙を深く吸い込み吐き出した。
隣りでは派手な化粧の女がヨウヘイの腕に自分の腕を絡ませながら幸せそうな顔をしている。
「ウゼェからやめろよ。」
「ヨウヘイ君このあとどうするの?ご飯でもどう?」
ヨウヘイにバシっと腕を振りほどかれたものの女は気にしていないのか、身体をヨウヘイの背中に擦り寄せてきた。
「食う気しねー。」
「じゃあドライブでも行こうか☆」
女はヨウヘイを引き止めようと次々と、あれしようこれしようと誘う。
うるさい女だな。
今回はハズレか…
ため息をつきながらふとケータイを見ると、着信のライトがついていた。
女が喋っているのを無視しながら確認し、着歴から相手にかけ直す。
プルルル…プルルッ…
『もしもーし、今家?』
「あ?ちげーけど。」
『今から行くから早くきなよ。』
「ちょ、意味わかんねーから。」
『じゃあねー☆』
一方的に電話が切られた。
ヨウヘイはハァ…と軽くため息をついてから、だるい身体を起こし着替え始めた。
「え?ヨウヘイ君?」
「帰るわ。」
呆然とする女にヨウヘイは顔だけ向けて、
「ここの支払いしとけよ。金半分置いてくから。」
「ちょっと!なんで急に帰っちゃうのよ!」
「大事な連れがくるんだよ。」
ヨウヘイの言葉に悲しみの表情を浮かべる女…。
「…私より大事なの?」
その言葉にカチンときたヨウヘイは、無言で身仕度をすませ、バックを掴んだ。
「あいつより大事な女なんていねーんだよ。勘違いすんな。金ここ置いてくぞ。」
財布からお札を数枚出し、ヨウヘイは部屋を出ていった…。
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