†第一章†

5/14
前へ
/16ページ
次へ
「さて、私を休む暇もなく任務に行かせ過労死させようとしている、総隊長のクロス殿は私に何をして欲しいのですか?場合によってはその立派な髭を抜かせて頂きますが?」 レオはクロスが椅子に座るのを見てからソファーに座った。 「その前にフードを取ったらどうだ?」 クロスは嫌みを綺麗に無視し、引き出しから一枚の書類を取り出し、レオに差し出した。 「おや、嫌みも通じないとは流石は総隊長殿」 レオはフードを取ると苦笑いをした。 そのフードの下から現れたのはまだ16~18歳位であろう苦笑いをした少年の顔だった。 腰まである髪はまるで雪の様に白くゴムで縛ってあり、瞳は前髪で余り見えないが茶色だ。 「これは…」 渡された書類を見て思わず絶句した。 【世界にある5つの魔法学園に臨時教員の配置について。 任期、人数などはそれぞれの支部の総隊長の判断に任せる】 ただそれだけが記入されていたのだ。 「俺はお前を過労死させる気なんて全く無い、そこでお前に長期休暇をやろうと思ってな」 クロスは嫌らしい笑みを浮かべて、最後に一言付け足した。 「拒否権は無い」 「期間は?」 レオはしかめっ面で書類を見つめ続ける。 「明日から、全ての事が終わるまでだ。場所はアルガルト学園だ、内容は臨時教員、及び、魔神封印具の守護だ。住む場所等は向こうの指示に従え」 クロスは立派な口髭を弄りながら笑う。 「了解しまし…たっ!!」 レオは立ち上がると同時にクロスの髭を掴み、思いっきり引き抜いた。 「痛ってぇぇ!!」 立派だった口髭はの片方は見る影もなく、荒れ果てた森の様になっていた。 「その髭はそうなる運命だったのですよ」 レオはそう言い残して部屋を出た。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加