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「さて、私を休む暇もなく任務に行かせ過労死させようとしている、総隊長のクロス殿は私に何をして欲しいのですか?場合によってはその立派な髭を抜かせて頂きますが?」
レオはクロスが椅子に座るのを見てからソファーに座った。
「その前にフードを取ったらどうだ?」
クロスは嫌みを綺麗に無視し、引き出しから一枚の書類を取り出し、レオに差し出した。
「おや、嫌みも通じないとは流石は総隊長殿」
レオはフードを取ると苦笑いをした。
そのフードの下から現れたのはまだ16~18歳位であろう苦笑いをした少年の顔だった。
腰まである髪はまるで雪の様に白くゴムで縛ってあり、瞳は前髪で余り見えないが茶色だ。
「これは…」
渡された書類を見て思わず絶句した。
【世界にある5つの魔法学園に臨時教員の配置について。
任期、人数などはそれぞれの支部の総隊長の判断に任せる】
ただそれだけが記入されていたのだ。
「俺はお前を過労死させる気なんて全く無い、そこでお前に長期休暇をやろうと思ってな」
クロスは嫌らしい笑みを浮かべて、最後に一言付け足した。
「拒否権は無い」
「期間は?」
レオはしかめっ面で書類を見つめ続ける。
「明日から、全ての事が終わるまでだ。場所はアルガルト学園だ、内容は臨時教員、及び、魔神封印具の守護だ。住む場所等は向こうの指示に従え」
クロスは立派な口髭を弄りながら笑う。
「了解しまし…たっ!!」
レオは立ち上がると同時にクロスの髭を掴み、思いっきり引き抜いた。
「痛ってぇぇ!!」
立派だった口髭はの片方は見る影もなく、荒れ果てた森の様になっていた。
「その髭はそうなる運命だったのですよ」
レオはそう言い残して部屋を出た。
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