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「なるほどねぇ。それで白玉楼にいきたいと」
不意打ちで登場した主に、事情を説明する二人。
紫は手にした扇子で口元を隠すようにして考える。
「いいわ。ちょうど幽々子に会いに行くところだし」
そう言って扇子を一振りすると、出てきたときと同じように空間が裂ける。
相変わらず理不尽な、と呟く慧音をよそに、紫はその空間の隙間に手をかけて広げる。
「それじゃあ、この階段の先が白玉楼よ。」
頑張って登りなさい、と一言残して紫は別のスキマに消えていく。
「あー……それではありがとうございました、慧音さん」
「うむ。また手空きの時に来られるがいい」
歓迎する、と手を振る慧音を背に、二人はスキマに飛び込んだ。
「またくるからねー!」
「ああ、待っている」
橙の声を聞いた慧音は、やれやれと頭をかいた。
「主があれだと……苦労しているのだろうな」
スキマの消えた空間を見つめ、一人苦笑いする慧音であった。
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