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「これはまた、業物ねぇ」
道具屋の主人のように、触っただけで分かる訳ではないが、その刀の放つ空気が確かにその格を分からせている。
黒金の鞘には僅かな飾り彫り、朱色の糸を編み上げた柄尻には赤い水晶の飾り玉が二つ。
触れれば切れんばかりの美しさを、納刀状態でも理解させる。
「藍さまー、きれーですよ……」
「ああ。きっと儀礼用なんだろう。」
二人の式神が見とれる中、紫は鯉口に指をかけ、その刀身を抜きはなった。
金属がこすれるというよりも、鈴を鳴らしたかのような音が鳴る。
「あ痛!」
続いて何かが落ちる音と、三人以外の声。
刀の美しさに丸くなった三人の目が、驚きに丸くなる番だった。
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