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石段を登りながら、赤は先ほど主から貰った紙符を取り出した。
スキマから放り出された後、さあ登るかと気合いを入れた二人の前に、紫は再び心臓に悪い登場をすると、それを置いていったのだ。
曰く「幻想郷にいるんだもの。スペルカードの一枚や二枚必要になるわよ」とのこと。
赤に与えられたカードはまだ白紙だが
「貴女の想いや力に応えて、スペルが発現するのよ。いくら式といえ、スペルをあげるなんておんぶに抱っこはいらないわよね?」
とまたスキマに消えていった。
「スペルカード、か」
呟く赤はまた手の中の白紙を眺める。
幻想郷の弾幕ごっこに使われるカードにして、その使い手を象徴するもの。
一部では他人のスペルを我が物にする者もいるらしいが、基本的には唯一無二である。
「発現するのだろうか」
記憶すらない、自分を持たない私にと心中でもらす。
主からの贈り物は悩みの種であったようだが、下を向きながら階段を登る赤に遠慮などなく上から声がかかる。
「何者だっ」
緑色の衣をはためかせ、抜き身の刀を下げた少女が石段の上に佇んでいた。
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