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スペルカードを宣言した赤は、その効果に驚いていた。
見て分かるように、弾幕ごっこに必要な弾幕を作るだけでなく、使用者の肉体に作用するスペルもあるのだ。
少女や赤のスペルがいい見本である。
少女がスペルカードで爆発的な速さを手に入れたように、赤はスペルカードによって凄まじいまでの眼力と正確さを得ていた。
世界の全てが引き伸ばされた様に、見切ることが出来た。
後はゼリーの様な空気の中で、見切った攻撃をかわせばいい。
「莫迦な!現世斬だけならず、未来永劫斬までも見切られるだとっ」
一方、少女の方は気が気ではない。
先程まで斬撃の段幕で優勢に立っていたというのに、ただ一枚の訳の分からないスペルにそれを覆されたのだから。
「こうなれば最後の一枚を……」
「無駄ですよ」
唇を噛み締める少女に、赤は冷たく言った。
「見えている物をかわすことは実に容易いですから」
「ならば……見えていてもかわせない速さを生み出すまで」
少女が三枚目のカードを取り出すと、赤もその太刀を担ぐように構える。
風に舞う木の葉が終わりの始まりを告げようとしたとき、沈黙を保っていた門が「内側から」勢い良く開かれた。
「赤!」「妖夢!」
「二人ともいい加減にしなさい!」
中から現れた二人の主により、終わりの始まりは始まることはなかった。
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