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半紙を二つ折りにし、口にくわえると、妖夢は慎重に刀身を引き抜いた 「なんと……」 口をついたのは、感嘆とも驚愕ともとれない一言。 打ち合っていた時よりも更に強烈な存在感を放つそれは、ただの刀剣とは思えなかった。 「私の刀と打ち合って刃こぼれ一つ無いのも驚きですが、何より飾りのない直刃だというのに魅了されるような美しさ……そしてこの危うさ」 魔剣妖刀の類ではないようですが……と刀身を鞘に戻す妖夢。 「正直、これだけの名刀が銘無しということは無いのですが、私が知りうる限りのどの刀とも特徴が一致しません。」 鞘と握りの飾りまで、細かく調べ、赤に一礼して刀を返す。 「……ただ、微かに残る鬼の痕跡……鬼斬りとはまた違うそれだけが引っかかります。」 他は奉納されていたようなあとしか無いですし、と付け加えた。 「有難う御座います。やっと一つ、近づけました」 結い紐を結び直した赤は、その鞘を愛おしげに撫でる。 「お力になれず未熟を恥じるばかりです」 頭を下げようとする妖夢を手で制すと、赤は軽く首を振った。 「私自身の事を調べているのですから、感謝こそすれど恥じられる事はありませんよ」 しかし、こうなるとあてが無くなりましたね、と呟くと、待ってましたとばかりに障子戸が開けられた。 「そういう事なら私にあてがあるわよ~」 白玉楼が主、西行寺幽々子の手によって。
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