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「つまり、紅魔館の魔女より知識があって、人里のハクタクより歴史に詳しくて、妖夢よりそういう物を見ている人が必要なんでしょう?」 「……加えて、外の世界の知識が紫様以上、です」 言葉にすればするだけ絶望的なそれを、西行寺幽々子はあっさりひっくりかえした。 「いるじゃない。竹林のお薬屋さん~」 「まさか、あの蓬莱人の事ですか……」 にこにこと頷く幽々子に、困惑顔の妖夢。 「確かに知識量は在りますし、長い歴史を見てきたでしょう。それに蓬莱殺しの対策として対妖の武器だって研究しているはずです。」 顕界に住んでいたわけですし、と言うとこめかみを押さえる。 「ですがあの蓬莱の姫がなんの見返りもなしに協力するはずが……」 「それなら平気よ」 また障子戸が開けられ、今度は紫が現れた。 「姫の方じゃなくて、薬師の方とはちょっとした付き合いがあるからね」 今度は間違いなく紹介状とついでに注文書、と封書を赤の懐に差し込む。 「橙の傷薬と藍の胃薬、あと私の化粧水。」 くすくす笑いながら、いい品なのよと紫。 妖夢を振り返ると、諦めたようにため息をついていた。 「道中お気をつけて……としか言えなくなりましたね」 「いえ、お心遣い有難く」 力なく苦笑しあうと、妖夢は鈴入りの竹細工を赤に手渡した。 「あの竹林は必ず迷います。多分これが役に立ちますから」 姫君が気まぐれさえ起こしてなければ、ですがと妖夢はまた力なく笑った。 「有り難く借り受けます。返す物が無い身がつらいですが」 「で、でしたらっ」 苦笑いする赤に、妖夢は身を乗り出した。 「次いらした時も私と仕合ってくれませんか?貴女の強さは、誰より師匠に近い気がするんです」 赤は小さく笑みを漏らすと、胸の前で刀の鍔を一度鳴らした。 「その約束、我が身にかけて必ず」 従者達は力強い笑みをかわし合った。
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