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平坦だが何もない道を歩く一人と一匹。 橙は歩くたびにくるくる揺れる、赤の水晶飾りが気になってしょうがなかった。 「… … …」 見ればすぐわかるほどに目を輝かせてその行方を追う。 つけている赤の方は苦笑いというかなんというか、やや困ったなーみたいな表情で橙を眺めていた。 「…よかったら、よく見てみますか?」 行ったり来たりに耐えられなくなったのか赤の方からそう切り出した。 「いいのっ!?」 目の輝きがまたらんらんと増す橙。 「ええ。よろしければ。」 赤の髪をまとめていた、片方の水晶飾りを取り外す。 「ほわー……すごいきれい…」 橙は受け取ったそれを日にかざして眺める。 手の中には炎のような鮮烈な赤を抱え、美しく輝く珠がある。 「それは何代か前に私を所有した人間が、柄尻につけてくれた水晶の具現なんです。」 水晶を両手で抱えて眺める橙に、赤は優しく言った。 「凄いね、コレ。赤は立派なところに飾られてたの?」 なるほど、と手を打ち鳴らし、橙は赤の手の中にその水晶を返した。 「信仰なんて今は昔。数奇者しか近寄らない神社でしたよ。」 少し寂しげに笑うと、赤は髪に水晶を付けなおした。
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