始まり

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私たちが知り合ったきっかけは、私の同僚の先輩が旦那だった。 職場の飲み会をしてた店で偶然会って、同僚と仲良かった私は旦那を紹介された。 正直、嫌いなタイプだったな。 でも何故かその後、何度も誘われるうちに二人で逢うようになった。 それは今でも私の中の、世界七不思議のひとつよ。 付き合ってた頃は、笑いながら旦那を叩く癖がある私と、文句を言わないでニヤニヤしてる彼って関係だった。 それを見た旦那の古い友だちは 『和也(旦那)は本当に真理子ちゃん(私)好きなんだなぁ。』 って驚いていた。 それを聞いた私は、いい気になってたっけ。 驚いた理由を考えもせず。 結局、渦潮に飲み込まれるみたいに半年で結婚式を挙げた。 そして、妊娠に気づかなかった【できてた婚】に、新婚旅行から帰った後に気がついた。 旦那は素直に喜んでくれたけど、私がお腹の子に神経を使うようになってから、少しずつ態度が変わってきた。 旦那は少しのことでイライラしては物に当たるようになり、次第に私に当たるようになった。 初めは仕事で何かあったのかと思っていたが、そうじゃなかった。 短気な性格だったんだ。 よく結婚までの半年も我慢してたと驚くほど、気の短い人だった。 食事に文句を言っては皿を投げ飛ばし、飲みにでかける。 薬味のネギが買い置きしてなかっただけで蹴飛ばされた。 今の私なら、物凄い反撃に出てるけど、当時の私には出来なかった。 暴力というものが無い世界で生きてきたから、自分が暴力を振るわれてる事を理解できなかった。 ボクシングだって怖くて見られなかったし、実家も見ない人たちだったから。 だから、どうしたらいいのか全く分からなくて、旦那の機嫌が悪くなる度に頭の中が真っ白になって、ただひたすら泣いていた。 親になんて言えない。 心配かけられないもん。 きっと泣いてしまうだろう。 親を今さら泣かせるなんて絶対できない! お腹の赤ちゃんだって、私が守らなきゃならないんだ。 だから、蹴られたり叩かれた時は、頭をかばわずに、ひたすらお腹だけを守っていた。 いつも手足は痣だらけ。 頭は叩かれてボーっとすることもあったよ。
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