サキ

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白い、病室の中で、白いベッドの上で、ずっと考えていた。  なにか、手間も世話もかからない愛玩物が欲しいと。  喪ったあのモノの代わりになるもの。  毛並みのいいネコなんてどうだろう。  あるいは、ウサギとか。  私が手に入れたいと思えば簡単に手に入る。  だけれどもその先を考えてしまう。  あのモノのように。  確実に私より先に逝ってしまうものたち。  喪う辛さは、手に入れた瞬間からじわじわと時がたつにつれて増えていく。  何度愛しい名前を呼ぼうとも、もうモノは目を覚まさない。  永遠に。 常世の先へ勝手に逝ってしまう。残されたものの気も知らずに……。  それはもう、恐怖でしかない。
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