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幸福とともに訪れて心をかき乱す喪失感。
それは幸せを知るほどに強く強く心を締め付ける。
それを考えると、元からなんにも無くていいんじゃないかと思う。
どうせ、手に入れるなら永遠に無くならないモノがいい。
そんなものが存在するのか分からないけど。
あるとすればそれは、夢物語。甘美な夢の世界。
そんな世界を私は病室でずっと考えている。
――――
「君の退院が決まったよ」
「おめでとう」
それは、突然に告げられた。
私が強制的にこの病院に収容され閉じ込められてから何ヶ月が経っていただろうか。
心の中で自嘲とも呼べるような皮肉な感情がわいた。
――ナオッテナイノニ?
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