サキ

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――セイジョウデハナイノニ? 「君はよく頑張ったよ。だから、もう家で療養をすればいい。行く気になれば学校だって行けるよ。友達に会いたいだろう?」 「……学校なんか、楽しくない。友達なんていない」  主治医は表情を変えず、「そう」と一言だけ言った。でもその横で顔を引きつらせている看護師の姿を見た。  誰もが「楽しい」と思って学校に通っているとおもっているんだろうか。  それは間違いだ。  例外は私だけじゃなく沢山いる。 「君の……秋妃ちゃんの気持ちは分かったよ。でも、退院するにあたって問題はある」 「なら、退院は無し?」 「ここに長くいることだけが、治療ということは無い。つまり、君に両親がいないということが問題なんだ」 「そんなこと」
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