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部室には柚葉がいた。
『どうだった?』
『おかげさまで。平均点もそこまでじゃなかったしね』
『そか。あ、美紗と謙一は追試で遅れるから』
『はいはい。了解』
俺は柚葉にそう告げると更衣室に向かった。
そっ~と開けて誰かいるか確認する。
お、誰もい…
『何してるの?碧』
イターーー!!
驚く俺をしりめに着替えをしていたのは亜里紗。
『びっくりしてないで早く着替えなよ』
『う、うん。』
気まずい…
目のやり場に困る……
亜里紗スタイルいいだけに本当に困る…
…………!!
…いや、待て待て
冷静に考えるんだ。
今の俺は女なんだ
だから見ても何も問題なんかないんだ
よし…
ごくり…
思わず生唾を飲む俺。
いざ行かん!
幸せの楽園へ!
意を決して振り向くと笑顔で柚葉が立っていた
『……………』
『……………』
当然の沈黙。
笑顔とは名ばかり…。
柚葉の眉のあたりがピクピクしているのを見逃すわけがない。
冷や汗が止まらない。
そして膝の震えも止まらない。
『じゃ、先にいってるね~』
亜里紗はさっさと着替えを済ませて出ていってしまった。
『あ~お~い~?』
『ハ、ハイ。ナンデショウカ?』
『今私がいないのをいいことに良からぬことを考えてなかった?』
『イイエ。メッソウモナイ』
『嘘つきめ!おしおき!』
そう言って柚葉は俺の背中に思いっきり平手打ちをかますと満足感たっぷりに更衣室を後にした。
もちろん俺は痛みに耐えられず、しばらく悶えていたのは言うまでもない。
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