♂第1話♀~始まりは突然に~

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ガッ   静かに放たれた矢は乾いた土に突き刺さる。 それをみて俺はため息をひとつ吐く。   『碧、調子悪いねぇ~。雑念を感じるなぁ。さては女のこと考えてたな』   『あ、あほか。違うっての』 友人の謙一のひやかしを一蹴し、俺は後ろに下がる。 しかしながら謙一の言うことも、あながち間違いではない。 平凡で退屈な日常。そんな毎日を楽しい高校生活に変えるために彼女が欲しいと考えるのは健全な男子高校生なら誰でも考えることだ。 そんな物思いに更けていると弓道場の入り口から声が聞こえ我にかえる 『碧先輩、矢とってきましたよ』   『お、サンキュ』 後輩の梨穂子から矢をとり、矢筒に入れる   『じゃあ、俺矢取りにまわるわ』   そういって俺は『かけ』を外し、外に出た。   しばらくして部活動の終了時間がせまる 『はい、じゃあ今日はここまで』 部長の柚葉の一声で周りのみなが片付けを始める 一通り片付けが終わったのを見計らって柚葉がまた声をかける 『じゃあ礼拝してミーティングするから集まって』   やっと今日も終わりか。そんなことを考えつつ、ミーティングを話半分に聞いていた。 『―。じゃあ今日もお疲れ様でした。』   俺はその声を聞いてゆっくり立ち上がり、更衣室にむかった 『碧、帰りゲーセンよってかね?』 『いいね。久しぶりに遊ぶか』 そんな会話を謙一としていると、柚葉が一言。 『残念。碧は居残りだよ』 『はぁ?なんでだよ』 『生徒会にあげる資料まとめるって昨日言ったじゃん。忘れたの?』 …すっかり忘れていた。 『仕方ないな。じゃあ今日は先帰るな』 『わりぃ。謙一、また今度な』   着替え終わり弓道場に行くと柚葉は先に待っていた。 『さっさと終わらせて帰ろうぜ』 『そうだね。はい、じゃあコレ』 そういって柚葉は俺に資料を渡したが明らかに配分が多い。 『分配率おかしくね?柚葉に比べて明らかに多いんだけど』 『副部長のくせに普段全然仕事しないんだから、これぐらいは当然でしょ?』 正論すぎて、ぐぅの音もでない…。 『ちっ。わかったよ』 俺は渋々作業に取りかかった。 なんだかんだで作業は一時間近くかかった。  
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