♂第1話♀~始まりは突然に~

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『ん~。やっと終わった』 『お疲れ様。碧もやればできるじゃん』 『それはどうも。終わったから帰るぞ。じゃあな。』 『あ、待ってよ。たまには一緒に帰ろうよ』 『なんでだよ。』 『いいじゃん。家近いんだし。それとも私と帰るのが不満なわけ?』 『お前とは昔からの腐れ縁だからな。見飽きたというか…』   ゴスッ   俺がそういい終わるか終わらないかの最中、柚葉のグーパンチが腹に炸裂した。 『失礼しちゃうなぁ。さ、帰るよ』 床にうずくまる俺を尻目に柚葉は入り口へと向かう 『そういえばこうやって2人で帰るのなんて、小学生以来じゃない?』 自転車の鍵を外しながら柚葉が言う。 『そうだったか?』 『そうだよ。中学では部活違ったし、高校入ってからも碧、謙一君とかと帰っちゃうし』 『お前と帰ってもメリットがないしな』 『あるよ。こんな美人な女の子と一緒に下校できるなんてメリットだらけじゃん』 『美人の定義間違ってんじゃねーの?』 『また殴られたい?』 そんな他愛もない会話をしながら、自転車をこぐ。   近所の公園に近づいた所で柚葉が言った。 『ねぇ、覚えてる?』 『何を?』 『昔この公園で私が上級生にいじめられてた時、碧が助けてくれたこと』 『あー。そういやそんなこともあったな。』 『あの時は子供ながらにかっこよく見えたなぁ』 『はいはい、どーせ今は見る影もないとか言いたいんだろ?』 『…そんなことないよ。今もかっこいいよ…』 『へ?』 予想外の返答に思わず戸惑う。 『えへへ。碧、照れたでしょ?』 にやにやしながら柚葉が顔を覗きこんできた。 『う、うるせぇ。からかってんじゃねぇよ』 図星の俺は恥ずかしくて、顔を背けた そんな俺をみて柚葉は笑っている。 しばらくして柚葉の家についた 『じゃあね、碧。また明日』 『おぅ。じゃあな』 そういって俺は柚葉と別れ、自宅に向かった   『ただいま』 部屋は真っ暗で誰もいなかった 電気をつけると、書き置きと夕食があった どうやら、みんな買い物に出掛けたらしい。 母と妹の揃った時の買い物時間は長いというレベルじゃない 『あの2人と買い物じゃ父さんも大変だな…』 父に同情しつつ、俺は夕食をすませ、さっさと風呂に入った。 風呂からあがった俺は、そのままベッドに横になった。 今日も疲れた 特にやることもないし、今日はもう寝よう。 俺はゆっくり目を閉じた。
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