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……………
見たことのない服ばかりが広がっている
当然ながら女ものである。
『…まじかよ』
俺は消え入りそうな声でポツリとつぶやき膝をついた。
それをみて、翠が心配そうに声をかける。
『お姉ちゃん本当に大丈夫?具合悪いなら無理しないで学校休みなよ』
さっき決断したばかりなのに心がまた折れてしまいそうだ。
俺は自分にやるしかないと言い聞かせると再び立ち上がって言った。
『大丈夫大丈夫。ちょっと立ちくらみしただけ。ほら、着替えるからさっさと戻って』
適当な言い訳で翠を部屋から追い出した
翠は少し心配そうにしていたが、そっと部屋を後にした。
『しかし大丈夫とは言ったものの抵抗あるなぁ…』
そりゃそうだ。
昨日まで男だった俺が女ものの衣服を着るなんて夢にも思わなかったからな。
『よし』
俺は気合いを入れ直すとパジャマを脱ぎ出した。
鏡に映るいたいけな女の子。
それが自分だとわかっていても直視できない。
それどころか、ドキドキしてしまっている。
『とほほ。自分の体で興奮しちまうなんて…』
この時、俺は男の性を痛烈に感じた。
『さっさと着替えなきゃ』
自分の欲望と戦いながら俺は着替えた。
とりあえず、適当に服をとり上から制服を着た。
『これで上はよし。問題は…ここだな…』
そう、スカートだ。
俺は深呼吸をひとつ吸うと、思いきってスカートを履いた。
『なんだか足元がスースーする』
というか、落ち着かない。
違和感だらけで落ち着かない。
それでも今の俺には前に進むしか道はない。
足取りは重かったが俺は決心してドアをでた。
さぁ、未知なる世界へ行こうか。
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