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♂第3話♀~知ってるようで未知なる世界~
『いってきます』
そういって玄関をでた俺は自転車に乗って学校を目指した。
通学路の景色はなんら代わりはない。
変わったのは俺だけ。
家族の反応からして知り合い全てが俺を女と認識してると見るべきだが…
どう接するべきか…
やはり女らしく接するべきだろう
というか、女らしい振る舞いができるのか?
そもそも女らしい振る舞いってどんなんだ?
俺の頭の中は混乱していてメチャクチャだ
『よう、御剣』
その声に振り向くと、そこには謙一がいた。
『おぅ、けんい…』
俺は喉から出掛けた言葉を飲み込んだ。
危うく、いつも通りに呼び捨てにするところだった。
一人でパニッくってる俺を見て当然謙一は不思議そうにしている。
俺はひとつ咳払いをすると
『お、おはよう、望月君』
とひきつった笑みで言ってみた。
『なんだ?今日はやけにご機嫌じゃん。何かいいことでもあったか?』
ねぇよ💢
むしろ悪いことが起きてんだよ。
元の世界でもそうだったが、こいつはこの世界でも楽天的みたいだ。
しかし、謙一と話すにも気を使わなければならないなんてキツい。
下手にしゃべって素が出ると変なやつに思われちまうからな。
俺は謙一の話を聞き流しながら、一人で考え事をしていた
『御剣?聞いてんのかよ?』
『え!?あぁ、うん。聞いてるよ』
急に問い詰められて焦る俺。
『さっきはニコニコ笑ってたかと思うと急に難しい顔して考えこんでっから。』
こいつ、楽天的に見えて結構見てんな。
『まぁ、なんかあるなら相談のるぜ?』
言って解決できることなら即話すんだけどな。
話してもどうにもならないことだ。
『大丈夫だよ。ほら、急がないと遅刻しそうだから』
俺は適当にごまかした。
『まじかよ、だからあんな難しい顔してたのか。急ぐぞ、御剣』
そういって謙一は自転車のスピードをあげた。
『…やっぱ前言撤回。あいつ単純だわ』
そう呟いて俺も自転車のスピードをあげた。
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