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14:33 高等部第2体育館
「五十嵐樹! 行きます!」
樹は勢いよく走り出す。
その勢いのまま、目指すは遥かにそびえるモンスターボックス。
「とりゃあっ!」
ロイター板が大きくたわみ、その弾性で小柄な樹を真上に飛ばした。
数瞬後、そこには見事に着地を決めた樹がいた。
「おおーっ。15段いった」
「もうこれ以上積めないぞ」
「外にコンクリのブロックあっただろ。それもってこいよ」
「やめい!!」
14:33 学園第2体育館
「五十嵐逸美、行きます!」
逸美がぱたぱたと、無駄な動きがありすぎる助走をする。
その先に待っているのは4段の跳び箱。小学生でも普通にとべるレベルだ。しかし逸美にはアルプス山脈のように思える。
ロイター板を力いっぱい踏みつけ、反動を勢いよく殺しながら、逸美は大空へ―――
「へむぎゅっ」
――飛び立つ前に、マットに勢いよく顔をうずめていた。
「あっちゃぁ……」
「逸美の唯一の弱点ね」
「その運動神経……」
「うるさいわねっ!」
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