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「てのが、この俺等がいる人間界に伝わるありがたい話っつーわけだ。
分かったか?チビ」
ここは人間界。
国は人間界の北の方に位置する大国、ユフィニア。
ここはユフィニア王国王都シーエルから程遠く離れた村、イリ。
自給自足の生活をし、王都のような華々しいものなど無縁の、ただ長閑なだけが取り柄の村だ。
それを表すかのように、村の至る所には畑が伺える。
────と。
そんな長閑な村には似つかわしくない上等な衣を来た男は、“人間界の始まりの歴史”を、めんどくさそうに締め括った。
男はやっと終わったとでも言いたげに大きく伸びをする。
そして目の前で大人しく座っていた、7歳程の少年にチラリと目を向けた。
そのまま怪訝そうな顔をしていた少年の頭を、無言で一つ小突く。
「何怪訝そうな顔してやがる。
今の説明で分かんねぇなんて言いやがったら、殴んぞ」
もう殴っているにも関わらず拳を振り上げる男。
そんな男に、少年はいかにも不思議そうな顔を向けた。
「む?
もう殴っているではないか、師匠。
そういうのは、殴る前に言うのが普通であろう」
堅苦しい。
7歳程の子供が言うには素直さに欠ける口調に、男は小さく嘆息した。
「あー……。
ったく、てめぇは一々一々。
つーか師匠って言うな。
てめぇなんざ弟子でも何もねぇよ、ただのチビだチビ」
くしゃりと、ボサボサの金の髪をかきあげる。
そしてウンザリとした表情のまま、また一つ、少年を小突いた。
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