17人が本棚に入れています
本棚に追加
が、それは横から現れた少年によって阻まれた。
「なぁ、お前も新入生?」
人懐っこそうな笑みを浮かべた少年は、ポンと肩を叩いてくる。
始めに目につくのは、燃えるような緋の髪。
その色に、周りの視線が集まる。
其ほどに、綺麗な緋だった。
そんな緋の髪の少年は、琥珀色の目を向けてくる。
どうやら、間違いなく自分に話しかけているようだ。
「む……そうだが」
何の用だと思いながらも、取り敢えず質問に応じる。
そんな無愛想な返事にも、少年は嬉しそうに声を上げた。
「ラッキー!
実は一人でさぁ……皆ダチと来てるみたいだし。
体育館まで一緒に行こうぜ!」
ニカッと笑って、少年はよろしく!と手を差し出してくる。
それに条件反射で手を伸ばすと、少年はブンブンとその手をふった。
「あっ、名前何て言うんだ?」
少年はそのまま愛嬌のある笑みを浮かべる。
「人に名を聞く時は、自分から名のるのが礼儀であろう」
しかし無愛想にそう言われた言葉に、少年は一瞬だけ笑みを固める。
「ディグレイ。
俺の名は、ディグレイ・ラズベルドって言うんだ」
しかし少年────ディグレイはもう一度笑みを浮かべると、自分の名前を名乗った。
最初のコメントを投稿しよう!