入学式は波瀾万丈

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が、それは横から現れた少年によって阻まれた。 「なぁ、お前も新入生?」 人懐っこそうな笑みを浮かべた少年は、ポンと肩を叩いてくる。 始めに目につくのは、燃えるような緋の髪。 その色に、周りの視線が集まる。 其ほどに、綺麗な緋だった。 そんな緋の髪の少年は、琥珀色の目を向けてくる。 どうやら、間違いなく自分に話しかけているようだ。 「む……そうだが」 何の用だと思いながらも、取り敢えず質問に応じる。 そんな無愛想な返事にも、少年は嬉しそうに声を上げた。 「ラッキー! 実は一人でさぁ……皆ダチと来てるみたいだし。 体育館まで一緒に行こうぜ!」 ニカッと笑って、少年はよろしく!と手を差し出してくる。 それに条件反射で手を伸ばすと、少年はブンブンとその手をふった。 「あっ、名前何て言うんだ?」 少年はそのまま愛嬌のある笑みを浮かべる。 「人に名を聞く時は、自分から名のるのが礼儀であろう」 しかし無愛想にそう言われた言葉に、少年は一瞬だけ笑みを固める。 「ディグレイ。 俺の名は、ディグレイ・ラズベルドって言うんだ」 しかし少年────ディグレイはもう一度笑みを浮かべると、自分の名前を名乗った。             
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