第一章

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「頼むからやめてくれないか?俺くたばるぞ」  言わないと100年かかっても察してもらえなそうだったので、自ら警告してみた。あぁ、最早発言という行為ですら労力に感じる。 「なーに朝からへばってんですか?おじいさん?」 「ほんとや!もう俺なんか期待と不安で胸がいっぱいで張り切れんばかりや」  それを言うならはちきれんばかりだろう、とは思ったが思っただけだった。それよりも俺は暑さのせいで服がはちきれそうだ。今や期待とか不安などどうでもいい。  それよりも、とりあえずこの坂道をエスカレーター式にしてくれないか?そしてついでに太陽の活動を少し穏やかにして貰えると助かるんだが。  でないともう期待不安云々の前に、俺が不安定な気体と化してしまう。  え?いいのか魔の坂道よ。俺がここに自縛して、人を寄り付かせなくするぞ。そしたらもう大変だ、貴様の役割は皆無に等しくなる。  そして太陽!今すぐ落ち着け。さもなくば不安定な気体のままお前の周りをぐるぐる回り出すぞ?そりゃもう鬱陶しいことこの上ないぜ。 「ねぇ……大丈夫ですか?」 「あ?あぁ、大丈夫だが」  危なかった、マジでくたばりそうだった。変な思考をするのをやめよう。どうやらそれだけで体内温度が上がるようだ。
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