第一章

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 馬鹿達に促されて1―Aの教室に着いた頃には、もう俺の今年度にかける素敵な高校生活像は無に帰していた。 「これが高校の教室かぁ……。あんまり中学と変わんないね。彩さんちょっとショック」  彩さん彩さん、これでいいんですよ。  黒板、机、椅子、ロッカー、教卓……。どれをとっても普通。うむ、普通が一番。 「そいでっ、席はどこかなっ?」  彩が黒板に張り出されている席順表を見ながら言う。あぁ、いやな予感しかしない。 「……あ、兄貴、あたしの隣っす!やったね!」 ポジション的には窓際の最後尾という最高レベルなのだが……。 「お、俺彩の前や。で、黒川の席はどこや?」  おいおい待て待て。どういうこと? 「俺は……そこだ」  なんと見事に全員集結!とはいかず。黒川の指は廊下側の一番前を指していた。  よし!いい気味。 「そうか。残念やったなぁ黒川。俺はお前のこと忘れない……って、そこ誰か座ってるやないかい」  え、何、待って。  あれは確か中学でも同じだった……あぁ、忘れた。すまない眼鏡くん。いや、それよりも。 「嘘だよー。俺はここだよー。仲良くしようではないか」  げっ!?俺の前かよっ! 「マジかよ……」  これは事実か?全員揃ったじゃないか。おかしい。不自然だ。偶然であることを願いたい。
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