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馬鹿達に促されて1―Aの教室に着いた頃には、もう俺の今年度にかける素敵な高校生活像は無に帰していた。
「これが高校の教室かぁ……。あんまり中学と変わんないね。彩さんちょっとショック」
彩さん彩さん、これでいいんですよ。
黒板、机、椅子、ロッカー、教卓……。どれをとっても普通。うむ、普通が一番。
「そいでっ、席はどこかなっ?」
彩が黒板に張り出されている席順表を見ながら言う。あぁ、いやな予感しかしない。
「……あ、兄貴、あたしの隣っす!やったね!」
ポジション的には窓際の最後尾という最高レベルなのだが……。
「お、俺彩の前や。で、黒川の席はどこや?」
おいおい待て待て。どういうこと?
「俺は……そこだ」
なんと見事に全員集結!とはいかず。黒川の指は廊下側の一番前を指していた。
よし!いい気味。
「そうか。残念やったなぁ黒川。俺はお前のこと忘れない……って、そこ誰か座ってるやないかい」
え、何、待って。
あれは確か中学でも同じだった……あぁ、忘れた。すまない眼鏡くん。いや、それよりも。
「嘘だよー。俺はここだよー。仲良くしようではないか」
げっ!?俺の前かよっ!
「マジかよ……」
これは事実か?全員揃ったじゃないか。おかしい。不自然だ。偶然であることを願いたい。
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