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時が止まる、という言葉を見事に体感した。
仲のいい美人のクラスメイトの彼氏を見た時以上の衝撃だ。
勿論、良い意味ではない。
うん、最初の印象通りだ。関わるとマズい。
「まあ私がどこから来たというのは一先ず棚上げにしましょう。実は千切さんにお願いしたいことがあるんです」
やはり適当に流して、逃げよう。
「それだったら、また今度聞くからさ。今日はちょっと用事があるの」
「あ、そうなんですか。お急ぎ中なのに申し訳ありませんでした」
信じてる。意外と素直なのかもしれない。
「そうなの。話を聞きたいんだけどね」
「でしたら後日お伺いします。明日などはいかがでしょう?」
明日は土曜日だから学校はないし、遊ぶ予定もない。
つまり暇。しかし、それを言う必要はないし、もう会うこともないだろう。
だから――
「明日ね。大丈夫よ」
私は“約束”してしまった。
少女はパアッと笑顔になると
「ありがとうございます! では明日!」
そう言って、私の帰路とは逆方向へと走っていった。
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