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不思議というかなんというか。
彼女――ロミ、ちゃんだっけ――は振り返ることもなく全力で走って行った。
姿が見えなくなるまでぼうっとしていた私は、息を漏らした。
携帯電話で時刻を確認する。
ゲッ。1時間も経ってる!
ドラマの再放送を見逃してしまった。思わず舌打ちをしそいになるが、そこはマナーということで自重した。
そこでふと……
「あの子、何で私の名前知っていたんだろ」
彼女は私を“千切さん”と呼んだ。
もしかして前にどこかで会っていたのかも、と記憶を懸命に掘り返すが探し物は見つからなかった。
ま、個人情報なんてあってないようなご時世だし不思議じゃないか。
楽観的すぎる自分に呆れつつ肩をすくめた。
幸いなことに両親は私を馬鹿に生んでくれた。
難しいことは分からない。
それでいいと思う。
両親、特にお母さんは私にもっと勉強して欲しいらしいけど、そこは思春期ゆえの反抗期ということで勘弁してもらおう。
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