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正面の信号が青に変わる。
一斉に人が前へと進み出す中、悟だけは動けないでいた。
佳「悟?…どうしたの?」
佳奈が悟の袖を引っ張ると悟ははっとする。
悟「あ……わり」
佳「………」
悟が歩きだしたので佳奈がそれについていく。
あの女性がこちらに向かって歩いてくる。
―――ドクン
胸が高鳴る。
徐々に距離が縮まっていく。
風が悪戯に髪を靡かせるのを許しているその姿が悟を惑わせる。
耳がおかしくなってしまったのだろうか
自分の心臓の音しか聞こえない
まるでスローモーションのようにゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。
そして腕を伸ばしたら掴めるところまで来た。
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