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桐谷はそれを受けとる
「…てめえ、ナニ余計なことしてんだよ?」
鈴木の口調はさっきまでと大して変わらないがトーンは下がり“悪意”が伝わってくる
…悪意?
なぜこいつは怒る?
その時桐谷が口を開いた
「ハハッコート君有難う…じゃね」
桐谷は突然笑ったかと思うと俺に礼を言って手をヒラヒラとさせて教室を出ていこうとする
「あぁ…」
キョトンとしながら生返事で返す…事態をよく飲み込めていなかったからだ
「桐谷ぁ…ちょっと待ちやがれっ」
教室の外へと向かっていた桐谷の足がピタッと止まる
俺は鈴木の怒声が教室に響いたのでビクッとして固まる
…心臓が止まるかと思った
でも桐谷は自分で止まったカンジだ
「あん時のこと話したら…わかってンだろうな?」
…夏休みかそれより前に鈴木と桐谷の間に何かあったのは間違いないがソレがナニかはわからないので聞いてることしかできない…何かしようと思うわけではないけど
「鈴木…なんのことかは知らないけど命令されたりって嫌いなんだ。自分のことは自分で決める」
桐谷はさっきと同じように淡々とした口調で強い眼差しを向けながら続ける
「ヤったとかヤらないとか話してたみたいだけど…君は相変わらず子供だね」
桐谷の口調は変わらないが言葉にはトゲが出てきた
「今なんつった」
桐谷の言葉に鈴木は声を荒げて叫び机から飛び降り桐谷の方へ向かおうとする
「おいよせサトシ」
俺と鈴木のすぐ近くにいた近藤が割って入る
「アハハ、子供相手にムキになる僕も子供だけどね」そう言って教室を出て行こうとするが立ち止まると
「僕がもっと楽しい…気持ち良いこと教えてあげようか?」
そう、いってでていった
去り際に言った言葉はなぜか俺に向けられていた気がした
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