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「どこかに、行かなくちゃいけない気がするんだよね」
隣で座り込んでいる、オレンジ色の髪の少女がつぶやいた。
銀色に光る瞳に、ちょっと尖った耳を持っている。
「あぁ、それは私も思う」
私はそれに答えた。
闇の色と同じ髪をした私は
きっと、ここの空気と同化して見えるに違いない。
そんな事を思った。
オレンジ色の髪をした少女がつぶやた。
「抜け道を、探さなくちゃ」
この言葉は、大切なキーワードのように心に響いた。
そうだ。
それが肝心なのだ。
でも、何故?
一瞬、その目的が
理解できたように感じた
が
すぐに思考が
濃い霧に包まれたようになってしまい、頭に浮かんだものがあっという間に霧散してしまった。
「別に、どうでもいいじゃない」
壁にもたれかかっている少女が言った。
「よくないよ」
オレンジの髪の少女がゆっくりと立ち上がった。
動きがひどく遅い。
そう。
私も同じ。
だんだんと身体が重くなってきて、動くことがおっくうになっているのだ。
「私は、探す」
そう言ってオレンジの髪の少女は、燭台を手にとって歩き始めた。
のろのろした足取りで
けだるそうに見えてはいる
しかし
先へ進もうとする強い意思は伝わってきた。
そう。
先へ進む。
これが、肝心なのだ。
理由はわからないが
それは確かなことだと
確信していた。
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