~女王、森羅の提案~

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「………………」 言葉もなく、食堂の悲惨な状態を見渡すトウヤ。 「………………」 トウヤの隣で、申し訳なさそうに小さくなって、トウヤを見つめるミリィ。 膨れ面で机に腰掛けるエリシアに、体から煙を上げて気絶しているクラシル。 そんな4人を、遠巻きから見つめる仲間達。 シェインは、片手で頭をさすりながらため息を吐いている。 棗やシアは、呆然とミリィやエリシアに視線を向けている。 タエ婆ちゃんは、引きつった笑顔で、様変わりした食堂を見渡している。 ルナ1人が、食堂の中の壊れた物を数え、何やら計算していたが、計算を終えたらしく、トウヤに声をかけた。 「トウヤ。 コレで、確実に貯金は無くなりましたわね!」 何故そんなに嬉しそうなんだと思いながら、トウヤはルナを死んだ魚の様な目で見つめ、そのままミリィ、エリシアへと視線を向ける。 その、あまりに悲壮感漂うトウヤに、ミリィだけでなく、エリシアまでが後ろへのけぞってしまう。 トウヤは、隣で小さくなるミリィの肩に手を置き、エリシアを無言で見つめ続ける。 しばらくの間、エリシアも負けじとトウヤを見返していたが、トウヤの隣で居心地悪そうにしていたミリィまでもが、半泣きの顔でエリシアを見つめる顔を見て、遂に投げやりな口調でトウヤに言った。 「嗚呼、もう…分かったわよ! 悪かったわよ!」 両手を天井に向かって掲げて降参するエリシアに、トウヤはそれでも死んだ魚の様な目を向け続ける。 目を向けるだけで動かないトウヤに、エリシアやミリィだけでなく、周りの仲間達までが心配するようにトウヤを見つめるなか、ようやくトウヤが口を開いた。 「仕事しような。」 たった一言だけだが、今までの誰の言葉よりも重く、有無を言わさぬ声に、ミリィとエリシアが、2人揃って頷いた。 「ドラゴンを家族に持つって、大変なんだね~。」 一部始終を見ていた棗が、しみじみと呟くと、シェインとシアが大きく頷き、ルナだけが楽しげに瞳をきらめかせるのだった。 その後…。 タエ婆ちゃんの引きつった笑顔に促され、全員で食堂の片付けを始めたトウヤ達は、森羅の提案について、具体的に何をすれば良いのかを、ルナが確認するまで待機する事にした。 ルナがみんなを呼ぶまでは休もうと、トウヤとミリィは部屋に戻り、2人揃ってベッドに倒れ込んでしまった。
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