~女王、森羅の提案~

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「疲れたな。」 隣で同じように倒れ込んだミリィに話し掛けると、ミリィはベッドに顔をうずめたまま、何度も頷いてくる。 トウヤの目に映る、ミリィの赤いツインテールが、疲れたようにしおれて見えるのは、気のせいだろうか。 いつもなら「私は大丈夫!」と強がるミリィも、今回は何も言えないようだ。 そんな事をトウヤが考えていると、隣のミリィがギュッとシーツを掴み、両肩を微かに振るわせ始める。 「何だ…。 今から、わめくんだな。」 結婚して早1年。 ミリィのこの先の行動が予測出来たトウヤは、ミリィから少し離れる。 「お母様の、バカ~~! 私は、結婚記念の旅行に行きたいのよ! それなのに…それなのに…ウウウウウッ!」 鬱憤(うっぷん)は吐き出したハズなのに、まだ溜まっているようだ。 ガバッと起き上がって叫ぶミリィの両肩に手を置いて、トウヤは諦め半分といった口調でミリィを宥める。 「落ち着けよ。 エリシアと喧嘩しただけ、今日はまだマシな方だよ。 それに、あんまり大声だすと、エリシアに聞かれるぞ?」 悔しそうに唸っていたミリィだったが、トウヤの言葉に、ピタリと呻くのを止めて、うなだれてしまう。 疲れと諦めが混じり、微妙な沈黙が2人の間に流れると、トウヤはワザとらしく咳きをして、ミリィに話し掛ける。 「ミリィ。 その…お袋が言った話なんだけど…」 先ほどから、聞きたくて仕方無かったトウヤは、言い難そうに視線を下に落としながらも、言葉を続ける。 「お袋が、孫はまだかって…聞いたのか?」 トウヤの問い掛けに、ミリィは更に肩を落として頷く。 「トウヤのお母様、もの凄く私達の子供を楽しみにしてるの。 私も…子供は欲しいって思ってるけど…」 「出来ないものは、しょうがないって! クラシルが言ってたけど、ドラゴンと人間の間には、なかなか子供が産まれないらしいぞ? 気長に待つしかないよ。」 そう言いながら、トウヤの鼻はふくらみ、口元はニヤリと、よだれを垂らしそうなくらい横に広がる。 「まぁ…アレだ!…と言う訳で…頂きます!」 言うが早いか、トウヤはミリィに背後から抱き付き、両手でミリィの胸を揉み始める。 「アッ!チョッ!…あ…まだ、夜になってな…もう…」 ミリィは、諫めようとする言葉を口にするものの、暴れたりしない。 そのまま、ピンクな時間が始まると思った時…。 ドアをノックする音が部屋に響いた。
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