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あ然とする仲間達の中で、エリシアだけは満面の笑みを浮かべている。
「つまり、『好きにしろ』って事ね。
凄くアタシ好みの内容よ!」
1人喜ぶエリシアの隣りで、クラシルが隠れてため息を吐いている。
そんなクラシルを見るとも無しに見ながら、トウヤはルナに視線だけで「何でそうなった?」と問い掛けた。
ルナは、トウヤの視線を受け、森羅を横目で見つつ、訳を話し始める。
「先の大戦の時、トウヤがずっと思い付きで行動していたと言ったんです。
それを聞いた女王陛下が…」
そこまで話を聞いた仲間達は、みんな納得した様に頷き、みんなで同時にため息を吐いた。
「成る程…。
確かに、いくら作戦を考えたとしても、トウヤとミリィが居たら、全部ぶち壊されるな。」
皆の意見を代表するように、シェインがそう言うと、エリシアとクラシル以外の仲間達が大きく頷く。
「ちょっと!
何で私まで含まれるのよ!」
トウヤの隣りに座っていたミリィが、身を乗り出しながらシェインへ意見すると、棗がワザとらしく首を振り、ミリィに言った。
「自覚してないって…、一番厄介だよね~。」
大仰な身振りまでまじえて話す棗に向かって、ミリィは頬を膨らませながら、何も言わずに椅子へ座り直した。
「確かに…、ミリィは破壊神みたいなもんだしな。」
自分の事を完全に棚に上げて、腕を組んだままトウヤがそう言うと、ミリィは無言でトウヤの頭を掴み、ギリギリと力を込め始めた。
「アガガガガガガッ!」
両手で空をかくトウヤを無視して、森羅が手元にあるグラスを掲げる。
「確かに、作戦とすら言えない話ではあるが、私は貴様達だからこそ出来る結果が待っていると思うのだ。
貴様達、エンブ最高の隊員と、その仲間達へ、心からの期待を胸に…乾杯!」
声高らかにグラスを掲げて音頭を取る森羅に、トウヤとミリィ以外が遅れて「乾杯!」と声をあげた。
「ちょっ!痛いって!
分かった!
悪かったから!
手を放してくれ!」
トウヤの悲鳴をBGMに、他の仲間達は早速料理に手を伸ばし始める。
「皆さんと食事するのは、久しぶりですね。」
上品にナイフとフォークを使いながら、ユエが昔を懐かしむように言うと、仲間達は自然と笑顔になり、昔話を始めるのだった。
「ミリィ!いい加減に、力を抜いてくれぇぇぇぇ!」
その間も、トウヤの悲鳴は、途切れる事なく続いていた…。
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