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「それで、アンタは何で攻撃されたのよ?」
腕組みしたままのエリシアが尋ねると、トウヤはギラリと目を輝かせて机から起き上がり、これ見よがしに力説し始めた。
「朝、たまたま俺の方が早く起きたんだよ。
そしたら…目の前にアイツの、あのデカいメロンが飛び込んできてさ!
そりゃ…もう…ウヘヘヘ…」
本当によだれを垂らすのではないかと思えるような、いやらしい笑みを浮かべるトウヤに、エリシアは頬をひきつらせ、クラシルは剣呑な表情になってトウヤを見上げる。
その時…
「ヘガアアアアアア!!」
突如飛来した火球が、椅子ごとトウヤを吹き飛ばす。
「朝から、何をいやらしい事を大声で言ってるのよ!
本当に…、貴方はエロ過ぎるわよ!」
純白のフリル付きのエプロン姿で、右手に料理を載せた皿を持ち、左手からは先ほど放った火球の余韻を残すように煙が上がっている。
目が幾分大きい以外はエリシアと瓜二つな顔、腰まである赤い髪をツインテールにしているトウヤの『妻』…。
ミリィは、トウヤからメロンと言われるその大きな胸を、左手でさり気なくエプロンの上から押さえながら、ピクピクと痙攣するトウヤに近付いていく。
「いつまで痙攣してるの?
朝ご飯出来たわよ!
早く起きなさい!」
自分で痙攣するくらい強い攻撃をしたにも関わらず、ハキハキした声でトウヤを急かすミリィに、トウヤはフラフラと起き上がって、ミリィをビシッと指差した。
「お前なっ!
いい加減に、エロ話の1つくらい慣れろよ!
毎回毎回、必ず火球を投げつけてきやがって!
本当に俺が焦げたら、どうするんだよ!」
流石と言うべきか…。
さっきまで痙攣していたのに、話し始めると途端に活気付いてくるトウヤ。
ミリィもそんなトウヤを見て、呆れたように息を吐きながら、テーブルの上に朝食を置いた。
「それだけ元気なら、焦げたって死なないわよ。
シア!
コーヒーを持って来て!」
両手を腰に添えながら、ミリィはトウヤに言い返しつつシアを呼ぶ。
すると、直ぐに厨房の奥から、鈴の音のように甲高い声が返ってきた。
「今行くですよ!」
頭に耳、お尻から尻尾を生やした少女。
シアが、トレーにカップとコーヒーソーサーを載せて、トテトテと歩いてくる。
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