~惨劇から始まる悲劇~

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トウヤの言葉に、全員が力強く頷き、そんな雰囲気の中で、ルナは“もう一つの書類の束”をトウヤに差し出した。 「フフフフフフ…貴方なら、きっとそう言ってくれると思いましたわ。 トウヤなら、こんなモノも大丈夫でしょう? 期待していますわよ!」 食堂に入ってきた時の、満面の笑みに戻ったルナが差し出したもの…。 それを受け取ったトウヤは、その“請求書の束”を手に、プルプルと震え出す。 トウヤの様子から、何か良からぬ事になると察したミリィは、トウヤの手に添えていた手をサッと放して、あさっての方を向く。 「ミリィ…エリシア…」 不穏な空気をまとい、トウヤが手にした請求書の束を握り締めながら、決してトウヤと目を合わそうとしない母娘を睨み付ける。 「教えてくれ。 何をどうやったら、こんなに物を壊せるんだ?」 目一杯に声を低くしたトウヤが問い掛けると、隣に座っていたクラシルが憐れむようにトウヤを見つめる。 シアやタエ婆ちゃんは、既に我関せずと言いたげに料理を食べ始めているし、棗やルナは面白そうにトウヤを見ている。 一方のミリィとエリシアは、決して目を合わそうとしないままで、エリシアが汗を流しているミリィの脇を、分からないように肘で突ついていた。 「エリシア…ミリィの脇を突っついて何してるんだ? この請求書の、大半はお前だよな?」 ミリィの脇を突いていたエリシアを見逃さなかったトウヤが、エリシアに問い掛けると、エリシアは逆に開き直ったらしい。 堂々とミリィの肩に手を乗せ、ミリィに微笑みかける。 すると、ミリィはダラダラと冷や汗をかいて、トウヤに訴えかけるような視線を向けた。 「エリシア…お前、自分の娘を脅すなよ。」 ミリィが不憫に思えたらしく、トウヤが低い声でエリシアをたしなめると、エリシアは小さく舌打ちして、トウヤに向かって言った。 「分かったわよ。 悪かったわよ!」 純粋に謝るのが大嫌いなエリシアが、トウヤに向かって謝る。 それを見て、ミリィも同じようにトウヤへ「ごめんなさい」と謝るが、そこにルナがしつこく追い討ちをかける。 「ちなみに、その請求書と報告書を持って、明日は女王陛下に面会して下さいね。」 ルナの言葉に、トウヤは何も言えずに机に再び突っ伏してしまうのだった。
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