好きだから

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「さて…この後私はどうしろと言うんでしょうね…?」 セバスチャンは胸に抱えたシエルを見て溜息をついた。 「身動きがとれないのですが。」 シエルはセバスチャンの服をぎゅっと握り、そのまま眠りについてしまったのだった。 愛らしい寝顔を浮かべ、すやすやと眠るシエルを腕に、セバスチャンはベッドに腰掛けていた。 シエルの目尻に残った涙の筋を指でそっと拭う。 「…私が貴方のお傍にいるのは…、…契約の為ではありません。」 全ては、貴方の為。 理由なんて、単純なこと。 『…きだから。』 空いている片手で顔を覆い、クスクスと笑う。 「嗚呼… 悪魔をこれほどにまで夢中にさせるとは……、 罪深い方だ……。」 ふわっと髪を撫で、その瞼に唇を落とす。 そしてそのまま低く、囁いた。 「今だけ、 ゆっくりお休みなさい…。 私の…坊ちゃん………。」
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