プロローグ

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喋り方も変えた。 本当はもっと女の子らしい喋り方をしたいのだが、そうすると「オカマ」だと囃されるから。 髪も首筋までのショート(男としては長い方だが)、女友達も姉妹もいないので女物の服は買えず、私服は全てボーイズだ(通販は利用方が分からないから無理)。 桜子は、皆が帰るまでを教室で待ち、いつものように誰も居なくなった更衣室で着替える。 バスケ部は止めてしまうのだから、もうこの更衣室を使う必要は無いと、ロッカーに詰まっていた荷物を全て取り出した。 そして見つけた、少女漫画。 パラパラと捲って見て、ため息を吐く。 「……いいよな、あんたは。ごく普通のオンナノコなんだから」 私もなりたいよ、あんたみたいに。 少女漫画は良い。 主人公はいつだって、少しドジで元気が取り柄の普通の女の子で、素敵な異性と恋愛するのだ。 羨ましい、凄く。
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