*第四章*

2/49
42299人が本棚に入れています
本棚に追加
/571ページ
そして、本番前日である。 HRが終わって3時間という短い時間帯の中、土井の監督の下で桜子達は1日に1時間半のセッション(※演奏などを合わせる事)をしていた。 「桜子、今の所はもうちょっと声遠くに飛ばすイメージで。まぁ出来れば全体的にそうして欲しいんだけど。蓮美はエレキのソロ練習不足。ムー、ベースでリズムちゃんと取って。桃は周り聴け、突っ走るな」 「ああ」 「分かったわ」 「はーい」 「りょーかぁい」 土井の指摘が来る度、桜子は感心していた。 土井は一度セッションを聴くだけで、それぞれのパートの一番足りない部分を見つけ出すのである。 それも、桜子自身が自分では気付けない所まで。 出会ってからこれまで、彼の才能に何度舌を巻いた事か。
/571ページ

最初のコメントを投稿しよう!