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そして、本番前日である。
HRが終わって3時間という短い時間帯の中、土井の監督の下で桜子達は1日に1時間半のセッション(※演奏などを合わせる事)をしていた。
「桜子、今の所はもうちょっと声遠くに飛ばすイメージで。まぁ出来れば全体的にそうして欲しいんだけど。蓮美はエレキのソロ練習不足。ムー、ベースでリズムちゃんと取って。桃は周り聴け、突っ走るな」
「ああ」
「分かったわ」
「はーい」
「りょーかぁい」
土井の指摘が来る度、桜子は感心していた。
土井は一度セッションを聴くだけで、それぞれのパートの一番足りない部分を見つけ出すのである。
それも、桜子自身が自分では気付けない所まで。
出会ってからこれまで、彼の才能に何度舌を巻いた事か。
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