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しかし今は乱世である。
豊かな故郷を荒らされて難民となる者、飢餓で死ぬ者、盗賊となる者、傭兵として生きる事を選ばざるをえなくなった者達を量産している。
その中に、傭兵として生きる事を選んだ一つの集団、「オーガ団」はあった。
彼等は、故郷を荒らされて仕方なく傭兵となったが、強固な団結力と強力な統率者のお陰で、数年たった現在は、大陸屈指の傭兵団に成り上がった。
そのオーガ団の次なる仕事は、西方で不毛な争いを長年続けている二国のうちの一国に味方することである。
大陸北部では、西にキルティス帝国があり着々と勢力を伸ばしており、東には、キルティス帝国の臣下として最大の領土を賜るも、帝国宰相と反りが合わず反乱を起こしたロンゲルト公がいる。この二大勢力を主として大小様々な争いが起きている。
大陸南部では、南端中央に領土を持つイセリ侯と、東の海岸沿いにある小都市国家群の斡旋により、暗黙の不戦状態が続いているが、それでも小規模な戦争が多発している。
大陸西部でも慢性的な戦争状態が続いている。
大陸中央部には”中央山脈”と呼ばれる広大な山脈が連なり、その山脈から西の海へ、ロイドと呼ばれる大河が流れ、大陸を分断している。
ロイド川より北側はガッツガルド地方と呼ばれ、ゲルバルトと言う君主が治めており、南側のリーノア地方はヘンニュクスと言う君主が治めていた。
元々、ガッツガルドはリティスと言う君主の治める地方であり、彼とヘンニュクスには深い遊戯があった。それがある時、重臣であったゲルバルトが反乱を起こして主君に取って代わった。その反乱を鎮圧する為ヘンニュクスからも軍を出したが敗北している。派遣した軍の中には息子や重臣もおり、そのことごとくを失ったと知らされた時、
「ゲルバルトは我らの血の続く限り仇敵である!」
と臣下の居並ぶ前で宣言し、六十年の長きに渡る戦争状態へと突入する。
力が拮抗している為か、どちらもロイド川以上の地へ足を踏み入れた事はない。まさに”不毛”である。
その”不毛”な争いに、”オーガ団”と言う一つの傭兵団が参加するところから、この物語は始まる事になる――
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