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美香子さんが彼氏に捨てられたのは、僕が高校を卒業する少し前の事。
酷く酔っぱらった彼女からその話を聞いた時、「僕の他にも男がいたのか」なんて言葉は頭に浮かばなかった。
何となく分かっていたし、僕だって『彼氏』の一人だから。
「僕は美香子さんだけを愛してますよ」
嘘くさい笑顔だったのに、美香子さんは凄く嬉しそうな顔。
……そんなに傷ついたのかよ、お前。
「どう、したの。今日は、何かっ」
食べたい。
食べたい。
食べたい。
「可愛い、よ。食べてしまいたいくらい、喰いたいくらい」
美香子の首筋に咬みついてみた。
あの日の彼女がしたように、思い切り容赦なく。
……『食べてしまいたい』の意味が、性的なモノなのか言葉通りの意味なのか分からなくなるくらいに。
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