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荒くなった息を落ち着かせ、煙草に火を点ける。
「ごめんなさいね。食べてしまいたいくらい、貴方が可愛くて」
美香子さんはいつもそう。
絶頂が近くなり興奮してくると、いつも僕の身体に歯を立ててくる。
「いいよ、別に」
甘噛みなんかじゃない。
いつもいつも、僕の肉を喰いちぎろうとしてるみたいに、強く本気で咬みついてくるんだ。
『食べてしまいたい』の意味が、性的なモノなのか言葉通りの意味なのか分からなくなるくらいに。
「……愛してるわ」
じゃあ何で僕だけを見てくれないんだ。
じゃあ何で離婚しないんだよ。
「僕も」
ダルそうに返事をすると、美香子さんは静かに笑った。
その顔がまた綺麗で、可愛くて、僕はもう一度美香子さんを味わいたくなった。
「え、んん……」
強引に身体を倒す。
夢中で唇を啄む。
……やっぱり僕は、貴女の一番でいたい。
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