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自然に溢れていた、広大な都市。その大半は血色に染められていた。
春の季節に相応しい、若草の香りを塗り潰すかの如く。
鼻につく強烈な血の匂いが、辺りを埋め尽くす。
天然物の自然に代わり、大地の景色を彩るのは。数え切れないほどの死体。
無造作に積み上げられた死体の山は、既に腐敗していた。
人間の手によるモノではない、死体の数々。
かつては世界の中心部として、栄えた大都市が。
廃墟寸前と化した都市は、その面影すら残さずに。
ただ退廃していくだけだった。
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