それから僕等は。

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「早坂さんて、裕のことが好きだったと思うけど...」 よく話してたし、たまにそんな二人にヤキモチを焼いてしまうくらい、裕と早坂さんは親しげに見えた。 「あー、やっぱ気づいてなかったか」 「いや、だって、傍から見れば裕のことが好きとしか」 「...航のことで恋愛相談されてたんだよ」 う、嘘!? あまりの衝撃的な事実に、思わず足を止めた。裕も一緒に立ち止まる。 「っでも、裕に好きな人がいないかって聞かれたことあるんだけど!」 「それは航と話すための口実じゃない?話したいけど何て声かけていいか分からないって悩んでたから」 裕は小さなため息をつきながら、肩をすくめてみせた。 ちょっと困った顔。 「けどさ......」 信じられない。裕以外の人に興味を持ったことのない自分が、まさか他人から好意を寄せられていたことに気付くわけ無いだろう。 「気づかないだけで、航のこと気になってる子結構いるよ?」 「...全然知らない」 俺のことを好きになってくれる人が裕以外にいるなんて。 眉を潜めて考え込んでいると、繋いだ手が引かれた。 またゆっくり俺たちは歩き始める。 「見た目もいいし性格もいいんだから、モテて当たり前だよ」 そう言われてちらっと前を向くと、裕が少しムスっとしていた。 「だからって、航を誰かに渡したりしないけどな」 その言葉に、一瞬時が止まる。 「へっ?」 ふいに気の抜けたような言葉を発すると、裕はそっぽを向いてしまった。 蛍光灯に照らされて、耳が赤く染まっているのが見える。 「渡さないよ。航が俺から離れていかない限り、ずっと航は俺のものだ」 いいでしょ? 表情は見えないのに、その声はどこか必死そうに感じた。 絶対他の人が聞いたら恥ずかしいセリフだが、俺はそのセリフがとても嬉しかった。
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