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「……大丈夫か?」
「は、はい!大丈夫です!」
ぼんっと私の顔は赤くなった。
こんなにも近くに斎藤さんがいて、体を支えてくれているから。
……そして私が少しでも顔を上げれば、唇が重なる距離にいる。
そのことが、私の心音を激しくさせていた。
「無理に運ぼうとするから、こんなことになるんだ。怪我をしてからでは遅いんだぞ」
「……ごめんなさい。でも、怪我しないように支えてくれましたよね?……ありがとうございます」
「……礼には及ばない。怪我がないのなら、俺は作業を続ける」
斎藤さんは私から体を離すと、黙々と掃除を再開させた。
だけど、私はその場で固まったまま暫く動くことが出来なかった。
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