*12 年越し

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濁す意味も込めてそう答えた私は、ちらっと沖田さんに視線を向けると、彼と目が合った。 にこっと笑う沖田さんだが、その笑みに黒いものが見え隠れするのは気のせいだろうか? 「……そんなことよりも、これから蕎麦を作るのではないのか?」 「あ、そうですよねっ!」 私は斎藤さんの助け舟(?)に逃げ込むように、沖田さんと永倉さんから距離を置いた。 「では、蕎麦を作りましょうか。もう、片付ける所はないんですか?」 「あぁ。早速だが、森宮は水を汲んでくれ」 「はい!」 斎藤さんの指示に従って私は外に出た。 辺りには軽く雪が積もっていて寒く、身が震えた。 タイムスリップする前は、スーパーで蕎麦を買って茹でただけで完成だったけど、この時代ではそうもいかない。 全て一から作らなければならなくて、大変だと思うけど、こういう作業は嫌いじゃないかな。
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