*12 年越し

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それから、斎藤さんと私で蕎麦の生地を作り始めた。 沖田さんは用事があるみたいで、あの後どこかに行ってしまったけど、入れ代わりのように原田さんがやってくる。 そんな様子を見守る永倉さんがいて、原田さんも待ちきれないように斎藤さんの手先にある蕎麦の塊を見つめている。 それを包丁で細く麺にしていくのには、私も驚きの声を上げた。 今日思ったのだが、斎藤さんってお母さんみたい。 本人言ったらきっと否定されるだろうけど、家庭的なんだもの。 「なぁなぁ!もう食えるんじゃねぇか!?」 「……いや、また生だが…」 「くぅ~…!俺ぁもう我慢出来ねぇ!いっただきまーす!」 永倉さんはまだ茹でてない蕎麦を口に突っ込んだ。 「………生だ…」 「生だと言っただろう。聞いてなかったのか?」 斎藤さんは半ば呆れていた。 それは私も感じていることで、原田さんも呆れてしまっている。
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