*12 年越し

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初詣といえば神社なイメージだけど、実際はお寺でも問題ないらしい。 すぐ近くに壬生寺があるので、私たちはそこへ行くことにした。 履き慣れない履物は歩きづらく、私はよたよた土方さんの後を追う。 「……あっ…!」 こつんと小石に躓いて、私は転びそうになった。 「……っと」 「あ…」 土方さんの腕が私を支えた。 暖かくて逞しい腕。 土方さんの顔を見上げると、今朝同様に溜息をつく土方さんの顔がすぐそこにあった。 「ボサッとしてんじゃねぇ。そのうち怪我すんぞ?」 「は、はい。ありがとうございます…」 また助けられた。 いつも私は土方さんに助けられている。 それは嬉しいんだけど、助けられるばかりじゃなくて、私も彼の役に立ちたい。 そうだ、今年は土方さんを助けられる年になるように祈ろうかな? 人込みとまではいかないが、壬生寺には人がたくさんいて、それぞれにお賽銭を投げたり、おみくじしたり……賑わっていた。 私もお賽銭を投げるべく、本堂へ向かった。
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