*12 年越し

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「さて、そろそろ帰るとするか」 「……あ」 「ん?まだ何かあるのか?」 「あ……いえ。何でもないです、帰りましょうか」 言えない。 もう少し、二人きりでいたいだなんて。 お正月だって土方さんは多忙なんだ。 我儘言っちゃ駄目なんだ。 それに、まだ帰り道は二人きりのまま。 まだ、一緒にいれるから、それで我慢しよう。 「……随分、屯所にも溶け込めたな」 「あ、そうですね。もう、半年経ちますし」 土方さんの方から話題を振るなんて珍しいから、私は少し驚いた。 そう、もう半年経つのだ。 私が土方さんに助けられて、屯所に住まわせてもらってから、随分経つ。
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