*12 年越し

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「本来、女を屯所に置いておけないんだが、でも……お前が来てくれて助かってる」 「そんな、私こそ助かってます。こちらこそ、ありがとです」 何だか土方さんが素直というか、優しい…? そう言ってもらえるだけで、私は頑張れる気がする。 「……早いですよね。月日が流れるのは」 「そうだな」 「本当に感謝しています。 屯所に連れて来てくださって。いつも助けてくれて。ありがとうございます。……土方さんのおかげです」 「……俺がしたくてそうしただけだしな。我儘だったのかもしれねぇ」 「土方さんが我儘だなんて、想像も出来ないです」 「そうか?」 「はい。でも、我儘言う土方さんは、きっと可愛いでしょうね」 「……俺が…可愛いだと?」 「あ……」 失言だ。 つい口を滑らせて、本音を言ってしまった。 いつもよりも話せたことが嬉しくて、少し調子に乗ったかも。
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