*12 年越し

28/31
前へ
/642ページ
次へ
『強くていい女……か』 そしたら、土方さんは振り向いてくれるのかな? でも、まだ今は対象外なんだよねぇ。 何だか、複雑。 私は小さく、土方さんに悟られないように溜息をついた。 「さてと、帰ったら雑煮でも食うか」 「ですね」 まだ時間はある。 永遠に一緒にはいられないけど、私達にはまだ時間があるから。 その間に『いい女』になってみせるよ、土方さん。 ―――… 「ただいまー!」 「あ、お帰りなさい。おや、土方さんも一緒だったんですか」 玄関で沖田さんが出迎えてくれた。 「今、こいつと壬生寺に行ってきたんだよ。初詣に」 「……土方さんがですか?」 「あ、私が誘ったんです。一緒に行こうって」 「おやおや、それはそれは」 にやにやする沖田さんに、土方さんは眉を顰めた。 や、やばい。 きっと沖田さんは土方さんをからかうに決まってる。
/642ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4104人が本棚に入れています
本棚に追加