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ハーベィが元気良く指を刺したその先―…
エントランスから伸びる、朽ちた手摺のついた階段の踊り場。
そこに一客の椅子があった。
薄暗い家中で目を凝らす。
「ッ!!!」
カノコが思わずその両手を口に当てる。
悲鳴を上げなかったのはさすが。と言えるか。
そこに居たのは、一体の骸骨。
裾の長いエプロンドレスは変色し、生地は長い歳月で風化したのか、はたまた瘴気のせいか、穴が所々に開き、中の骨が白く見えている。
かつては美しかったであろうヘイゼルの髪が頭蓋骨からふわふわと生えているので、完全に骨になっている訳では無さそうだ。
遠目にも、ぐじぐじと何かが蠢いているのが解る。
にこにこと笑うハーベィ。
母親が死に、エネジィの補給方法も知らず生き物を襲うようになったのかと思ったのだが…この様子ではどうやら違うようだ。
「ハーベィ。君がママを喰べてしまったのかい?」
『このお菓子を食べたのは君かな?』位の口調で尋ねる。
返ってきた返答は大方の予想通り。
「うん。」
無垢な子供らしい笑顔。
カノコの眉間に一筋の皺が入るが、それも一瞬の事で、すぐに表情を元に戻した。
「村の人たちを喰べたのも、君だね?」
「うん!」
その後に出てきたのは衝撃の言葉。
「だって、ママが食べれなくなっちゃったんだもん!」
「そうか。じゃあおじさんは君を罰さなくてはいけないね。」
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